片想いの行方
第54章 再会
周りには、クリスマスツリーを見てはしゃぐ子供や
写真を撮るカップル達で溢れているけど
私の視界にはもう、目の前の彼しか映っていなかった。
「一条だっけ?
あの男は年明け早々、地の果てまで飛ばすから」
「……えっ……!?」
その言葉に驚いて、ハッと我に返る。
「子供の責任は親が取らなきゃいけないんだよ。
南米か北欧か……
うちの会社は、世界の裏側にまで異動先があるからな。
まぁ、一条にとっては美和の会社を退社しても、すぐに再就職先が見つかるワケだから。
今頃パパに感謝してるんじゃない?」
「……………!!」
話の規模の壮大さに唖然として、開いた口が塞がらない。
そんな私を見て、蓮くんはふっと笑った。
「今まで美和にしてきたことを考えたら、当然の報いだろ。
これで視界良好。
これからは思う存分、邪魔物がいない世界を楽しめるよ」