片想いの行方
第54章 再会
白い息が舞う。
「……当日には間に合わなかったけど。
あいつらが、しっかり仕返ししたらしいな」
あの頃と変わらない表情を見ると
恋人となり、一緒に過ごした月日が一気に蘇ってくる。
「………うん………」
どうしようもなく、胸がドキドキする。
「ヒメが………
助けに来てくれたの。
麗子さんも、優香さんも
奈々さんも、アンナも………
私の為に、みんなが……
苦しみから救い出してくれたの………」
頬を伝う涙に、蓮くんの右手が触れる。
………10年前、私を包み込んでくれた、温かい手。
「……ずっと、辛かったんだな……
もっと早く気付いてあげられなくて、ごめん」
「…………っ」
蓮くんの手に、自分の手を重ねる。
「……でも
蓮くんが星空を………」
「……ん?」
「蓮くんが海外の空の写真を、いっぱい送ってくれていたから
それが凄く嬉しかったの……
勇気がなくて、言えなかったけど
その写真を見るだけで、元気をもらえてたんだよ……」