片想いの行方
第55章 変わらない“2人”
▼Side... ヒメ
待ち合わせには、十分間に合うはずだった。
だけど
店舗視察が終わって、イルミネーションが続く駅までの道を歩いていた時
ショーウィンドウに並んだ、アクセサリーがたまたま目に入った。
その中のひとつ、星のモチーフが光るネックレスが、美和に似合いそうな気がして。
小さな箱に入ったそれを、コートのポケットに入れて店を出た時には、既に8時を過ぎていた。
美和にメールを入れて、歩くスピードを早める。
プレゼントを買った理由は
クリスマスだからとか
一条の束縛に耐えた褒美だとか
今から思えば、別に理由は何とでも言えたんだ。
だけど俺は
蓮の話をした美和の表情を見てから、無意識のうちにすげー焦っていて
その小さな飾りが、美和を繋ぎ止めたいという自分の欲望の塊に見えてしまって
結局その日
買ったネックレスを、美和に贈る事は出来なかった。