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片想いの行方

第60章 裏HERO

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そして、仕事納めの最終金曜日。


年末最後の出勤の今日、本社の人間は大掃除だけして終わる。


クリスマスのピークを乗り切り、明日からの長期休暇を前に、社内は和やかなムードだった。




「でも、MDチームは相変わらず忙しいらしいね~」

「うん、上のフロア、昨日も終電近くまで電気ついてたみたいだよ」



本棚の前で書類を片付けていると、同僚の会話が耳に入る。




………ヒメの部署とは関わる接点がない上に、忙しさからの時間のすれ違いで


クリスマス以来、その姿を見かけることは無かった。


コートのお礼も何も言えてないまま、最終日を迎えてしまったのだ。





「美和~!携帯鳴ってるよ~」




私の机の近くで、同期が声をあげる。

……!

そうだ、マナーモードにするの、忘れちゃってた。




「ありがとう」




私は自分の席に戻り、携帯を手に取る。


画面を開くと、それは蓮くんからのメールだった。





『仕事のトラブル、やっぱり解決しなくて。
明日の夕方の便で現地に行く。

正月に帰ってこれると思うけど……
ごめん、詳細は今夜話すよ』






「………蓮くん
体壊しちゃうんじゃないかな……」




私はポツリと呟いた後、すぐに了解と返信した。

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