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片想いの行方

第60章 裏HERO

「卵・ナッツ類・牡蠣………

これらが何だか分かりますか?」





突然の食材の質問にも、一条さんは表情を曇らせて静かに答える。





「……俺の嫌いな食べ物だ。
美和が何度か作ってくれたけど、俺は……」


「違います」






一条さんの言葉を遮り、私は淡々と続けた。






「卵は、髪の毛の成長を促進する栄養素が豊富。

ナッツは亜鉛を多く含んでいるから、脱毛を防ぐと言われている。


最後の日、一条さんが不味いと言った牡蠣のスープは、髪質の向上に効果があるの。


……一条さんが嫌いな食べ物は、頭皮全体の健康を保つものばかりだったんです」




「……………!」







怒涛の攻撃。


一条さんは豆鉄砲をくらったように、唖然として固まった。









“ もしも、また一条に会ったら ”






その時に言ってやりなと、ヒメが用意してくれていたセリフを思い出して。



私はニッコリと笑った。








「その頭の原因が分かって良かったですね。

ハゲに特報♡」







それだけ笑顔で言い捨てた後




私はくるっと向きを変えて、エレベーターへと歩きだした。

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