片想いの行方
第61章 真実の想い
「………………っ」
涙が、再び頬を流れ落ちる。
………隣りにいるカップルが言ったように、確かにこの人達の音域は広くて。
本当に、上手だと思う。
だけど
「………全然違うよ………」
同じ曲でも
同じアレンジされた曲調でも
あの時歌った彼の声には
真っ直ぐな想いが込められていた。
「…………ヒメ…………」
この瞬間に
はっきりと心に浮かんだ、真実の想い。
私の為に、いつも傍で支えてくれていた彼は
いつも私に、 “ 未来 ” をくれていた。
私に、夢を与えてくれていたんだ。