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片想いの行方

第61章 真実の想い

私が会社で倒れて、救急車で運ばれた時

私の左手をずっと握っていてくれた。




倒れた理由を偽ったのに、何の事情も知らないはずなのに

表面だけの強がりだってこと、すぐに気付いてくれた。





その優しい手を振り切ったのに、マンションの前で待っててくれて

いつまででも待つと言って、微笑んでくれた。






「…………ふ……っ………」





彼と再会してからの記憶が一気に蘇る。





私が1番辛い時に、誰が傍にいてくれた?



諦めていた私に、誰が勇気を与えてくれた?



塞ぎこんでいた私に、大事な事を教えてくれたのは………





『ひとつは、過去ばかり見ていたことだ。

これから先まだ何十年って人生が続くのに、自ら未来を変えようとしなかった。

……諦めて、昔の楽しかったことを振り返ってるだけじゃ、何の解決にもならないんだよ』




『美和が、“ 自分の口から ” 言えた事に意味があるんだ。

周りが何をしても、苦しんだ本人が納得しなきゃ、本当の意味で解放されたことにはならねーから』




………………っ





『美和は1人じゃない。

……その事を、これからは絶対に忘れるな』

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