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片想いの行方

第62章 過去と未来

………………………………………………





「……美和!」






羽田空港出発ロビー。



携帯片手に私の姿を見つけた蓮くんが、手を挙げた。






「……蓮くん………」





すらっとしたスーツ姿で背の高い彼は、どこにいてもひと際目立つ。


私が近付くと、蓮くんは携帯を切った。




「驚いたよ、突然見送りに来てくれるっていうから。

やっぱりうちに来てから一緒に………」




私の顔を見て、蓮くんが言葉を止める。


腫れた目を一晩中冷やしていたけど、無理だった。





「………美和…………」





フライトまであと1時間。



ギリギリまで悩んでいたから、こんな時間になってしまった。






「………………っ」





彼に伝えるなら、今しかない。




なのに




言葉が出てこない。

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