片想いの行方
第63章 2人の蓮
「………………っ」
瑠璃の表情が少しだけ曇る。
「……だけど、俺も彼女もしっかりお互いの気持ちを伝えたから。
後悔はしてない」
搭乗するまで俺を見送ってくれた、美和の笑顔を脳裏に浮かべて
俺は続けた。
「瑠璃のパワーは今でも俺の心に残ってるから。
………ありがとう」
「……蓮………」
切ない瞳が、俺を真っ直ぐ見つめる。
「………そんな顔するなよ」
俺は瑠璃から目を逸らした。
後悔はしてないし、自らの選択に不満も無い。
だけど
27の立派な男のくせに、今すぐ誰かに縋って泣きたくなっているなんて。
しかもそれを瑠璃に言えるわけが無い。
「………向こうでの仕事が片付いたら、連絡して」
瑠璃はそう言うと立ち上がった。
その言葉に、俺は振り返る。
「………瑠璃?」
「あの時蓮に告げた、“ 偶然再会したら ” って条件も満たしてるし。
勘違いかもしれないけど、今の蓮を癒せるのは私だけじゃないかなって。
ちょっと自信ある」