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片想いの行方

第63章 2人の蓮

「…………………っ」





瑠璃が持ち場に戻るタイミングで




再び俺の目から溢れた滴が、手の甲に落ちて




小さく書かれたその絵を滲ませた。







……美和……




……ヒメ……







俺の存在が、惹かれあう2人を引き離してしまっていたけど




やっと2人の想いが結ばれる時が来たんだ。





いつかきっと



俺達3人が納得する答えが見つかる


それぞれの交差した想いが、幸せな結末に繋がる



それだけを願っていた、あの頃の想い。




………10年を経て、ようやく咲き誇る時がきた。







「………ありがとう……」





瑠璃がくれたその誇りを、俺はもう一つの手で包み込んだ。





決して百点万点とは言えなかった、俺の片想いが





あと少しだけ、消えないでほしいと願いながら。

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