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▼Side... ヒメ


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「良かったわよ、姫宮くん。
“ 失恋 ” して、切なさを極めた感じ」



「“ フラれた辛さ ” がその歌声に滲み出てるのね～。
ほら、下のお客さんみんな感動して泣いてるし」




「………………」






年内残り１日を残した土曜の夜、今年最後のステージを終えると



共通の言葉を強調した、魔王と悪魔が俺に話しかけてきた。






「……やっぱりダメだったのか、ヒメ」





螺旋階段を再び降りようとした時、下からヤスが上がってきた。




「学生時代から、向かうところ敵無しだったお前でも
たった１人の女が手に入らないってことがあるんだな」




「………………」






３人が同じ憐れみの目で俺を見つめる。





……腹立つな。

つーか口元が笑ってんだよ。

ほんとこいつらって最低。






「独身女の不穏な呪いを受けたせいだ。
一生恨んでやる」




冷たく言い捨てて、再び階段を降りる。


やけに疲れたから、歌い終わった時点で真っ直ぐ帰ると決めていた。