片想いの行方
第63章 2人の蓮
「……何度もメールと電話したのに。
どこにいたの?」
美和は体をガタガタと震わせながら、俺を見上げる。
うっすらと付いた雪で、髪が濡れている。
「……どこって……」
「あと少し遅かったら、BARまで行こうかと思ってたの」
「……なんでお前、ここに……」
まだ状況が飲みこめない俺に、美和は静かに口を開いた。
「……ヒメを待ってたの……」
「………!」
「いつまででも、待ってるつもりだったんだけど。
……とにかく、帰ってきてくれてよかった」
美和の頬が赤く染まっていて
俺は放心したまま、その顔を見つめる。
「………蓮は………?」
「……蓮くんは、仕事でニューヨークに行ったよ。
夕方に、羽田まで見送りに行ってきたの」
……………なんだ。
そーいうことか。
俺はやっと心を落ち着かせて、いつも通りの口調に戻す。
「それで?
もう寂しくなったってわけ?」
「………!」
「残念ながら、年内の相談窓口は終了だ。
来年から受付開始するから、今日は帰ってくれ。
………送るから」