テキストサイズ

片想いの行方

第63章 2人の蓮

「………………」




沈黙する俺と美和の上を


粉雪が舞い落ちる。





「…………美和……」






重たい空気を変えようと口を開いた


次の瞬間






「………………!!」






美和が勢いよくダッシュし、傍まで近寄ってくると


俺の体を、真正面からガシっと抱きしめた。






「……美……」


「 “ 私が ” 決めたの!!」





美和は、俺の胸に顔を埋めたまま叫ぶ。





「蓮くんに言われたからじゃない。

ヒメに促されたからじゃない。


迷って、悩んで、2人の事をずっと傷付けてしまったけど


……私が初めて自分で決めた……


初めてちゃんと “ 気付いた ” 本当の想いなんだよ」



「……………っ」





俺は、その言葉を聞くだけで精一杯で、


美和の背中に手を回すことさえできない。




「………ずっと、気付かなくてごめんなさい。

私をいつも見ていてくれた、ヒメの優しい想い。

その想いが私の心に溢れてるの」




「………美和………」




「………ヒメ。

信じてくれるまで、これからもずっと言い続けるよ。

……ヒメを好きな理由なら、数えきれないほどあるもの」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ