片想いの行方
第63章 2人の蓮
「…………………」
「………何か言ってよ……」
自分のコートをぎゅっと掴んで、美和は顔を真っ赤にして俯いた。
……………は?
放心したまま動けない体。
だけど、美和が俺に1歩近付いてくるのを見ると
俺は反射的に、スッと後ずさりした。
「………!
何で離れるのよ!」
美和が少しムッとした顔をして、また1歩俺に近付く。
ま、待て………
「……お前。
寒さで頭イカレたんじゃねーの?」
「……なっ……!違うわよ。
私は本当にヒメの事が……」
「どうせ蓮に何か言われて。
俺の反応見て楽しむ魂胆だろ」
「……っ そんなわけないでしょ。
私、ヒメが好きだって伝えにきたんだよ?」
………………!!
なんでこいつ、いきなりこんなハッキリ物を言うようになったんだよ。
尋常じゃないくらい心臓がバクバクして、いつもの平常心が保てない。
………美和が俺を好きだなんて。
ありえるわけない。
「……いいから、蓮のところへ戻れよ」
俺は美和から目を逸らした。
「もう譲り合いはうんざりだ。
俺の事は気にしなくていいから。
自分に正直になれって、蓮に伝えといて」