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片想いの行方

第63章 2人の蓮

「………美和…………」




その愛しい体を抱きしめると



もう、だめだった。



抑え込んだ想いが、堰を切ったように溢れ出す。







「……蓮は、何て………?」






俺が静かに問いかけると、美和はゆっくりと答える。






「………俺のたった1人の

親友をよろしくって………」





「………………っ」






…………あのバカやろう………!





熱い想いがこみ上げてきて、俺はさらに強く美和を抱きしめた。






……何に措いても、おいしいところを毎回さらっともっていく蓮。



だけど、その裏であいつがどれだけの努力をしているか、俺は知っている。



誰かの為に動く精神

強く相手の為に願う心



いつでも強くて優しい、周りの人間を大事にする蓮が

何を犠牲にしても貫きたかった、美和を愛する想い。






「……………っ」







………やっぱり、1番はあいつだ。



俺は、蓮には一生叶わない。



真のヒーローは、永遠にあの男だ。

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