片想いの行方
第63章 2人の蓮
「………美和………」
「………ん………?」
「……蓮も、幸せになるよな……?」
震える俺の声を聞いて、美和が俺を見つめる。
「………なるよ、絶対」
美和の力強い言葉。
俺は全身の力が抜けるような感覚に陥った。
美和をこうして抱きしめているのは俺だけど
紛れもなく、勝者は蓮だ。
「…………負けたよ」
「………………!」
思わず出た本音。
すると
美和はびっくりしたような顔で、俺から体を離した。
「…………なに?」
「………今の言葉……」
俺の目をじっと見つめた後
美和は
ふっと笑った。
「……今日、蓮くんもまったく同じこと言ってたよ」
「…………………っ」
………またかよ………
しかもお互いに敗北を口にするって……
美和の頭を撫でながら、苦笑いをすると
美和は、目に涙を浮かべながらも
その顔は、最高の笑顔で溢れていた。