片想いの行方
第68章 ☆蓮愛相談室
突然の美和からの感謝の言葉に、俺は固まった。
半分放心したまま、直径20センチ程の四角い箱を受け取る。
「………なに?急に」
「いいから開けてみて」
大きな目をキラキラさせて、美和はウズウズした様子で俺を見つめる。
言われるがまま、白い箱の蓋を開けると
その瞬間、中から甘い香りが漂ってきた。
「……………!」
フルーツが沢山乗った、手のひらサイズのタルトケーキ。
ひとつひとつ装飾が施されたトリュフやショコラが、その周りに散りばめてある。
タルトを囲んで、チョコレートの粒が綺麗に並べられていた。
「チョコは家で準備して、タルトはさっきまでここで作ってたんだよ」
箱を見つめたまま、完全にフリーズした俺に向かって
美和は満足そうに続けた。
「ヒメ、来週から出張でしょ?
だから、1週間前倒ししたの」
「…………っ」
「年末にもらったネックレスのお礼と
バレンタインに因んで、私からの感謝の気持ち………です」
美和はそう言うと、恥ずかしそうにもう一度微笑んだ。