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片想いの行方

第69章 ☆甘い夜



ヒメはポケットに手を入れて、携帯を探し出す。

私は半分呆気に取られたまま、口を開いた。




「……このケーキの写真なら、私さっき撮ったよ。
自分で言うのもなんだけど、良く出来たなぁって思って」

「じゃあ、それ俺に送って」

「う、うん……」

「食う前に手洗ってくる」




ヒメは携帯をソファの横に置くと、立ち上がってリビングを出ていった。

その後ろ姿を、ぽかんとして見つめる。





「………あれは、誰?」





思わず呟く。

ヒメは、自分から写真を撮りたいなんて絶対言わない。

普段隠し撮りまでされる立場だから、むしろ好きじゃないと思う。




………なんだか、無償にドキドキする。




普段から口が悪くてぶっきらぼうだけど、こんな風にキュンとさせられる事が度々起きる。


付き合って1ヶ月だけど、私がまだまだ知らないヒメがいっぱいあるんだ。


それをこうして近くで感じられるのは、とても嬉しいなぁ。




そんな事を思いながら、ケーキを冷蔵庫に入れて

ソファの前のラグの上に

戻ってきたヒメと並んで座った。

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