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『昨日は楽しかったよ。
これから戻るの？』

「ええ、そのまま本社でミーティングがあるから。
１週間は日本にいるわ」

『そっか、俺は３日後に戻るけど。
来週の金曜またNYに出張だから……
社内業務があるとはいえ、無駄な一時帰国だ』



即座に、頭の中でお互いのスケジュールを計算する。

来週の平日は蓮も日本にいるってことだけど。

そんなハードスケジュールなら、逢うのは遠慮した方が良さそうね。

………だけど



「ねぇ、蓮。
私も来週の金曜、アムステルダムまでフライトなの。
時間が少しでも合うなら、成田の空港で逢えない？」

『もちろんいいけど。
その前の夜でも構わないよ』

「来週の金曜日がいいの。
………2月14日よ？」



ちょっとドキドキしながら、そう告げると

蓮の優しい声が返ってきた。



『分かった。
期待して、楽しみにしてる。
ありがとう、瑠璃』


「………うん」



何気ない、言葉でも

蓮の一言一言には、私をときめかせる魔法がかかってるみたい。


昨日逢ったばかりなのに、もう逢いたくなる。

その気持ちをぐっと堪えて、私は電話を切った。