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pure love

第9章 深愛

グッ…と、思わず拳を握った利き手。

その…利き手の機械を、凌太先生がぱっぱと外していった。


「……倒れたのが凛ちゃんの家で…っ…凌太先生の居る家で、良かった……」

母親の目は真っ赤に泣き腫らしていて、痛々しくて直視出来ない。

俺は、目を逸らしたまま、ごめん…と小さく呟いて謝った。



「彼女の家で爆睡とか…

蓮、お前どんだけくつろいでんだ」

イタズラっぽく笑う凌太先生。


だが、俺の母親を振り返った顔は厳しい。


「このまま検査入院の手続きを取らせてもらっていいですか?」

このまま?

「ちょ…待って‼︎ それじゃあ凛の誕生日が…」


「退院したらお祝いして?」

言い掛けた俺の言葉を遮り、

ベッド脇に立って、俺を見下ろす凛の瞳は有無を言わさない強さを秘めている。


「わかった……」

それ以上、何も言えなくて…

俺は渋々頷いた。


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