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pure love

第9章 深愛

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「蓮? っ、蓮‼︎ 」

聞き慣れた声が、俺を現実へと引き戻す。


ぼんやりする頭と重い身体。

目だけをそちらへ向ければ、

真っ青な顔をした凛と、

泣きじゃくる俺の母親の姿。


そして、

「おー、起きたか。あれから一晩寝てたぞ」

1人呑気な声で、テキパキと俺の身体をあちこち触るのは、凌太先生だ。


「……マジか」


凛のベッドを占領して数時間爆睡したのに、更に一晩寝てたのかよ…

─────なんて…

どう考えたって、”寝てた” 訳じゃなさそうだよな。

ふーっと息を吐き出す。


「……凛、ごめん。心配掛けたよな?」

俺の言葉に、凛の瞳に涙が溢れる。

でも、

たくさんの管に繋がれた身体を動かす事が出来なくて、その涙を拭ってやれない。


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