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pure love

第13章 短編・番外編【第二章・約束】

そして、いよいよ…

凛からの両親への手紙が、始まる。


『お父さん…っ、おかぁ…さ……っ』

初っ端から泣き始める凛。

震えるその肩を抱き締めたい衝動に駆られる。


時折声を詰まらせては泣きじゃくり、

時折便箋から顔を上げて両親を見遣り、

そんな凛の姿に、

静まり返る会場内の全員が注目していた。


俺と同じ病気を…発症はしなかったものの、ずっと発症の恐怖と戦ってきた凛。

そんな凛を、医者として父親として支え続けた凌太先生。

兄と弟に囲まれた唯一の娘の凛を、時に厳しく、だけど優しく見守り続けた美優さん。

そして、

ずっと俺を待ち続けた凛を、陰ながら応援してくれていた優太さんと煌太。その家族。


何度も何度も御礼を言って、

『やっと蓮と笑い合える。絶対、絶対…幸せに、なるからね』

涙を拭った凛は、最高の笑顔でその手紙を締めくくった。


真下を向いて俯いて、肩を震わせる凌太先生。

その隣で、美優さんは顔を覆って泣き出している。

親に、家族に、本当に愛されて育ったんだな。

幸せをいっぱいくれた家を出て、俺に託された凛。

その責任の重みを痛感する。


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