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pure love

第13章 短編・番外編【第二章・約束】

そして、

互いの両親と共に、出口でゲストを見送る。


「蓮ーっ!凛ちゃーん!」

懐かしい、高校時代の面々。

1年も通えなかったけど、本当に濃い1年だった。


「奏、紘平、雅也。初めてまともに通えるようになった高校で、俺にとって初めての友達になってくれてありがとう」

俺の病気を知っても変わらず居てくれた。俺の、初めての友達。

「バーカ」

涙声でそう言って俯く、相変わらず素直じゃない紘平。

「蓮ーっ!」

こんな人前で男泣きしちゃう雅也も、相変わらず熱い奴だ。

「恥ずかしいこと言うなよ」

涙目の奏は、俺の携帯が水没した後も学校や病院やいろんなツテを使って俺に連絡を取ってくれていた。

高1の…死ぬかも知れないと思ったあの時、この3人に言えなかった言葉。

伝えられたのは…


「凌太先生…」

「んー?何だよ、改まって!」 

ゲストが帰り、ようやくひと段落した頃、真っ赤に目を腫らした凌太先生と向かい合う。


「俺を、助けてくれてありがとう」

その優しさに、その強さに、俺は救われたんだ。

凌太先生がいなければ、今、俺はこの場所に居られなかった。


俺の誕生は、親を喜ばせるものじゃなかった。

毎年誕生日を迎えられた事に、父親は異常なくらい感涙する。

そして母親は、”元気に産んであげられなくてごめんね” そう言って泣きじゃくる。

───…泣かずにその日を迎えた事はなかった。

でも、この病気のおかげで今ここにいる人たちに巡り会えた。

凛に、巡り会えた。

苦しい時期もあったけど、そんな中でも誰かのおかげで笑えていたのも事実だ。
 

「俺を、産んでくれてありがとう。

見捨てず育ててくれてありがとう。

俺のために、たくさん泣いてくれてありがとう」

心配させて…泣かせてばかりだった両親に御礼を言えば、ひょっこりと隣へ並んだ凛も頭を下げる。


凛には、俺に巡り会ってくれてありがとう。

神様には、凛と巡り会わせてくれてありがとう。

だな。


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