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pure love

第3章 初恋?

小学校低学年の頃に入院していた大きな病院で、たった1人、俺と同じ病気の奴がいた。

俺より3つ年下だったそいつは、聞いた歳よりもずっと小さくて、毎日”苦しい”と泣いてはその母親を困らせていた。


そいつの母親は俺の母親と違って、病室で泣いた事は無かった。

そいつの前ではいつも笑顔のその母親を、俺は羨ましく思っていたんだ。


でも、


1度だけ、

その母親の涙を見た。



寝る前には隣のベッドにいた筈のそいつが、朝にはベッド毎居なくなっていた…その日だ。


俺と俺の母親の元へと挨拶に来たその母親は、俺の母親の胸に顔を埋めて大声を上げて泣いた。

つられて俺の母親まで泣き出して、2人して別の部屋へと連れてかれてた。



あの日はきっと、

そいつがこの病気から解放された日…旅立ちの日だったんだろう。

いつか俺もこんな風に母親を泣かせるのかと、幼いながらに苦しく感じた覚えがある。



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