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pure love

第4章 距離

チッ…と平野が小さく舌打ちする。

「はっ…売られた喧嘩も買わないのかよ。負け犬が!」

平野の言葉に、マキが立ち上がる。

俺が買わなくてもマキが買いそうだな。


「ちょっと!」

「喧嘩売られてたんだ? 気付かなかった」

マキの腕を引いて座らせ、俺は平野から視線をずらしたままそう答える。


「はぁっ⁈ マジムカつく! 凛を賭けて勝負しろ」

「バカじゃないの! 何で凛?」

一々ムキになって返すマキといると面倒事が増えそうだ。


「凛は物じゃないんだ。賭け事の賞品が凛だなんて可笑しい」

そう言って立ち上がれば、

「……っ……」

息を飲む2人。



いつもはのらりくらりと交わしていた平野の挑発…

何であの日は交わせなかったんだろう。

別れの時は、すぐそこまで来ていたんだ───…


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