神様の独り言
第8章 神様は愛を理解する
先に1歩を踏み出したのは…
ハキだった―――――…
この先に…もう一人の自分がいる…
そう感じていたから…
自宅に来た―――――…そんな感覚に似た1歩だった…
そんなハキの後を…深呼吸をしてからついていく道子…
すでに…取り壊しの決まっているアパートだから土足のまま部屋に入る…
部屋は、カーテンがしかれ…暗かった…
カーテンを開けると―――…
ホコリの中に光が差し込み…
後光線の様に部屋に光の道を作り出した…
カビ臭く…ホコリ臭い…
タバコ臭く…防虫剤臭い…
田舎のお婆ちゃんの押し入れ―――――…
そう万人は表現するだろう…
だが…道子もハキも―――…万人の様な経験もなく…
その的確な匂い表現ができずにいた…