神様の独り言
第10章 迷羊は神の影を知る
「耳無し様は…あの時田の関係者かえ?」
老婆は、別荘を見ながら聞いてきた…
『はい』
ハキは、文字を打ち老婆に見せる…
「字…ちっこいな…」
ハキは、慌てて文字を大きくする!
「お〜…でかくなった…」
老婆は、まじまじとスマホを見て感心する…
「しかし…耳無し様が…時田の関係者とは――――…皮肉やね…」
老婆は、雑草生い茂る民家を見て…ため息をつく……
『皮肉?ですか?』
「ああ―――…時田 和義は…“声の力”に囚われていたからね――――――…」
ドクン―――――…と、ハキの心臓が震えた―――…
『“声の力”とは…声で人を操る…力ですか?』
老婆は、うなずき……
ハキの耳を見た―――――…
「ここの村は昔……
“にしねかみこ”と言われていたんだよ…
二つの死に音、神の声…で
二死音神声(ニシネカミコ)村…
今は、爾志音古村だけどね…」