
♢Fallen Angel♢
第2章 *
体を拭い寝室に戻ると、ひとまとめにした髪を下ろし下着姿のまま鏡に向かい化粧を始めた。
鏡台の引き出しを開けて中を探っていると扉が開き
「何やってるの?」
「客から貰った指輪が見当たらなくて…今から会うからないと困るんだけど…知らないよね?」
「…え?うん…」
目線を逸らし鼻先を掻いた。
乱暴に引き出しを開けていき、ジュエリーケースを見つけると強引に引っ張り出し、勢いで手から滑り落ちアクセサリーが床に散らばる。
「もう嫌…」
顔を歪めて床にしゃがみ込む蓮の隣で屈んでアクセサリーを拾いながら
「雑に扱ってるから見つからないんだよ。片付けておくから行っておいでよ。時間ないんでしょ?」
サイドテーブルの目覚ましの赤いLEDが急かす。
起きあがり再び鏡台に向かうと慌てて化粧を仕上げて髪を簡単にハーフアップにして着替えるとバッグを掴んで
「後の事よろしくね」
小さく唇を重ねると
「いってらっしゃい」
振り返らずにピンヒールを足に引っかけて慌ただしく家を出て、エントランスを抜けコンクリートに囲まれた駐車場に向かった。
キーレスの音が反響し、ハザードが点滅すると車に乗り込んだ。
マフラーの低い音を響かせて走りだす。
待ち合わせのカフェに着くと奥にある駐車場に紛れるように車を停めた。
自動ドアを抜けるとコーヒーの香りが漂ってくる。
柔らかな日差しを浴び、窓辺で本を読む初老の男の隣まで歩いていくと
「待たせちゃってごめんなさい」
読んでいた本に栞を挟んでテーブルに置くと蓮に柔らかな笑顔を向け
「立ってないで座ったら?朝食まだなんだろ?」
「うん…ありがとう」
向かい合わせに座り、メニューを手に取ると
「あれ?指輪はどうしたの?」
一瞬、間が空き
「石が外れちゃって…お直しに出そうと思ってるの」
「言ってくれたら新しいの買ってあげるのに…後で行こうか?」
メニュー越しに
「いいの?でも…申し訳ないよ」
そっと手を握られるとかさついた肌の感触。
「気兼ねしなくていいんだよ」
顔に皺を作ってはにかんだ。
店員が近づき、少し迷ってメニューを指差して注文した。
届いたのはトレイに乗せられた甘い香りのするクロックムッシュとロイヤルミルクティー。
カップに角砂糖を入れて混ぜるとパンをナイフで切り分け大口を開けて頬張っていると目が合い、穏やかな微笑みを向けられて
「美味しい?」
「うん」
鏡台の引き出しを開けて中を探っていると扉が開き
「何やってるの?」
「客から貰った指輪が見当たらなくて…今から会うからないと困るんだけど…知らないよね?」
「…え?うん…」
目線を逸らし鼻先を掻いた。
乱暴に引き出しを開けていき、ジュエリーケースを見つけると強引に引っ張り出し、勢いで手から滑り落ちアクセサリーが床に散らばる。
「もう嫌…」
顔を歪めて床にしゃがみ込む蓮の隣で屈んでアクセサリーを拾いながら
「雑に扱ってるから見つからないんだよ。片付けておくから行っておいでよ。時間ないんでしょ?」
サイドテーブルの目覚ましの赤いLEDが急かす。
起きあがり再び鏡台に向かうと慌てて化粧を仕上げて髪を簡単にハーフアップにして着替えるとバッグを掴んで
「後の事よろしくね」
小さく唇を重ねると
「いってらっしゃい」
振り返らずにピンヒールを足に引っかけて慌ただしく家を出て、エントランスを抜けコンクリートに囲まれた駐車場に向かった。
キーレスの音が反響し、ハザードが点滅すると車に乗り込んだ。
マフラーの低い音を響かせて走りだす。
待ち合わせのカフェに着くと奥にある駐車場に紛れるように車を停めた。
自動ドアを抜けるとコーヒーの香りが漂ってくる。
柔らかな日差しを浴び、窓辺で本を読む初老の男の隣まで歩いていくと
「待たせちゃってごめんなさい」
読んでいた本に栞を挟んでテーブルに置くと蓮に柔らかな笑顔を向け
「立ってないで座ったら?朝食まだなんだろ?」
「うん…ありがとう」
向かい合わせに座り、メニューを手に取ると
「あれ?指輪はどうしたの?」
一瞬、間が空き
「石が外れちゃって…お直しに出そうと思ってるの」
「言ってくれたら新しいの買ってあげるのに…後で行こうか?」
メニュー越しに
「いいの?でも…申し訳ないよ」
そっと手を握られるとかさついた肌の感触。
「気兼ねしなくていいんだよ」
顔に皺を作ってはにかんだ。
店員が近づき、少し迷ってメニューを指差して注文した。
届いたのはトレイに乗せられた甘い香りのするクロックムッシュとロイヤルミルクティー。
カップに角砂糖を入れて混ぜるとパンをナイフで切り分け大口を開けて頬張っていると目が合い、穏やかな微笑みを向けられて
「美味しい?」
「うん」
