恋密度〜官能・従兄妹編
第2章 蒼い果実
「──真美!?」
携帯を握ったままアタシに気づいたお兄ちゃんが後ろから呼びかける。
「なに?」
「……夜は田舎も最近物騒だから気をつけるんだぞ…」
「うん!お土産買ってくるよ!」
「…土産?じゃあ、イカ焼きがいいな。熱い内に帰って来いよ!……一緒に食おうな…」
お兄ちゃんはそう言って、一瞬アタシの頭を撫でようとして躊躇っていた。
お母さんが簡単にまとめたアップの髪を見て、お兄ちゃんはアタシの頬にペチペチ!と軽く触れる。
「行っておいで」
そう言ってアタシ達を見送ると再び携帯を耳にあてていた。
「──もぅ、いいだろ…お前から別れたいって言ったんだから…今さら拠りを戻す気はない!!何言っても無駄だから…」
晃一は一方的に電話を切っていた。
無駄だ今更──
もう、……遅い…
お前が俺に気づかせたっ…
『──あたしの事好きでもないくせにっ!!
そんなに前の女が諦められないならそっちにすれば!?』
ずっと押し殺してきた感情。
封印したまま前に進むことも出来ずに、がんじがらめの日々だった…
彼女を作る度にあの夏の日の事を重ねて抱く日々。
俺の体は真美以外に欲情しない──っ