テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第12章 嫉妬

ある日の昼休み。

席に戻ってきたノブちゃんは、レポート用紙を前に悩んでいた。

「ノブちゃん、どしたん?」

「ん~、お悩み相談室、開設中」

またか。

料理研究部のノブちゃん。

その腕前を買われてか、女子から女子力高い弁当の作り方だとか、手作り菓子のレシピだとか相談されるようだ。

また、ノブちゃんも人がいいもんだから、喜んで手伝ってしまい…結果。

ノブちゃんに頼むと恋が叶うとかのデマが流出しているらしい…。

「今度は何?」

「好きな人が気に入るクッキーが作りたいんだって」

「へぇ…珍しいな。自分で作るんだ」

作って!!って頼んでくる人が多いのに。

「ん…。彼氏が俺が作ったのを旨いって食べたんだと。だからそれより旨いのを作りたいんだって」

「それは…負けん気強い子だな」

「複雑なオトメゴコロだねぇ。でもそういうの好きだな」

にっこり笑って、レポート用紙に書き込みだした。

小麦粉、卵、バター、コーンスターチ…?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ