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12cm~越えられない距離~

第12章 嫉妬

ノブちゃんが書いた文字を眉を寄せて見ていると

「繚さ、甘いの嫌いだよな」

「まぁ…得意ではないな」

食べないことはないけど、自分で買ってまで食べたいと思わない。

すると、ノブちゃんがシャーペンを指で回しながら聞いた。

「甘いの嫌いな人が食べる菓子って何だろう?」

「え…煎餅とか…?」

唐突な質問に、咄嗟に思い付いたものを言ってみるも、ノブちゃんに笑われた。

「煎餅とクッキーは結び付かないなぁ」

「えーと、じゃあ…チョコ」

チョコ嫌いって奴、あんまし聞かないし、万人受けしそうな気がする。

「チョコ!!チョコいいじゃん!」

ノブちゃんは何度も頷くと、

「チョコならナッツと相性いいし…それなら生地は軽めで…」

と、独り言のように呟きながらレポート用紙にレシピを書き始めた。

こうなったら何いっても聞こえないのは、今までの付き合いで分かる。

俺は自分の席に戻って行った。

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