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12cm~越えられない距離~

第14章 傷ついたのは…

昼休み。

ノブちゃんと弁当を食べたあと雑談をしていた。

「もうすぐ夏休みだな~」

「あ、そうだな。今年の予定は?」

するとノブちゃんは、ニヤニヤ笑いを浮かべて

「よくぞ聞いてくれました!!今年は、なんと遊香里庵の板場なんです」

「すげ!!マジで!?」

ノブちゃんは毎年、夏休みにバイトに励むんだけど、飲食店に狙いを定めてる。

遊香里庵ってのは、地元の高級老舗旅館の名前だ。

「料理研究部の部長だって言ったら即オッケーもらえた。肩書きって大事だな」

「良かったな」

「ま、板場って言っても、皿洗いとか食器準備が殆どだろうけど、何か技とか味付けとか見て盗めたらいいなぁ」

そう。ノブちゃんの目的はそれなんだ。

「将来のための勉強?」

「ん…。まだどの道にするか決まらないしなぁ。色々経験しときたいし」

料理人になるのは間違いないけど、和食とかのジャンルで迷いがあるらしい。

「やっぱ、もう将来の事とか考える時期なのかな…」

俺が呟くと、ノブちゃんは首をひねった。

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