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12cm~越えられない距離~

第15章 夏休みの始まり

その日の夜。

ノブちゃんが、バイト帰りに訪ねてきた。

「今日は朴葉ずしもらったんだ」

朴の木の葉っぱに包んだお寿司。飛騨地方の名物なんだそうだ。

「うわー、朴葉ずし好きだわ~。ノブコありがとー!!」

ハハオヤは大喜びで寿司をもらうと、

「寄ってく?」

と家の中を指差した。ノブちゃんは

「遅くなるから」

と手を振って断ると、俺に

「3日、6時に三井寺公園のからくり時計の下な」

と念押ししてきた。

「分かった」

「遅れるなよ!!」

俺の腕をバチンと叩くと、じゃあなと帰っていった。

「浮かれてんなぁ」

ノブちゃんの後ろ姿を見ながら呟くと、

「いいねぇ。青春だねぇ」

とハハオヤが笑った。

「花火、一緒に行くの?」

「ん」

「二人で?」

「いや…他にもいるけど…」

四人で行くって言ったら、また何やらからかわれそうな気がする。

「ふうん?」

納得しないような顔をしながら

「じゃあ、3日、昼御飯食べたら須方へよろしくね」

「へーい」

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