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12cm~越えられない距離~

第16章 須方のお祖母ちゃん家

バスに揺られることおおよそ20分。

街の風景から抜け出し、辺りは田んぼと畑と家という景色が広がった。

いかにも、田舎だよな。

夏休みに田舎のお婆ちゃんの家に遊びに行く、という自分の状況に、何故か笑いがこみ上げてくる。

俺んちだって、都会じゃないのに。

そのまましばらく走っていると、最寄りのバス停に到着した。

バスを降り、辺りを見回す。

いつ建ったのか、チェーン展開する薬局が近くに出来ていた。

へぇ…。こんな所にまで進出してきたんだ。

これが建つ前って何があったっけ?

何回も来てるのに思い出せない。

その土地に暮らしてないとそんなもんなんだろうか。

荷物を持ち直して、ばあちゃん家を目指して歩き出す。

バス停から大体15分ぐらい歩いた先だ。

ハハオヤが何やら色々持たせたせいで、結構な重さになったトートバックを肩に下げる。

これで15分歩きか。

しかもかなり暑い。

誰かに迎えに来てもらえば良かった…。

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