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12cm~越えられない距離~

第16章 須方のお祖母ちゃん家

「ばあちゃーん!!」

へとへとになって玄関に入ると、奥にいるであろうばあちゃんを呼んだ。

「あぁ、よぉ来んさった。寄ばれないよ」

「外めっちゃ暑かった!!」

居間に上がり、

「あ、これ。ハハオヤから」

持ってきた荷物を渡すと、ばあちゃんは熨斗のついた箱菓子を仏壇に供えた。

俺も倣って手を合わせる。

「よし」

振り返ると、ニコニコ笑顔を浮かべて俺を見た。

「今日は一期が来るんやよ」

「うん。聞いた。結婚相手連れてくるって?」

「そぅや。盆は仕事が忙しいて来んのやと」

「そうかぁ。…おじさんとおばさんは?」

「畑。とうもろこし採りおる」

この暑い中をご苦労様だな。

ばあちゃんが持ってきてくれた麦茶を飲んで息をつくと

「一期、今日泊まってくの?」

「いやぁ、花火見るって言いおったで帰るんでないかぁ?」

「そっか」

一期も花火見に行くんだ。

そのあと、ハハオヤや店の話をしていると、車のエンジン音がして

「来たな」

ばあちゃんが呟いた。

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