テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第19章 俺の、だ

花火大会の夜。

夕飯を神社の境内で食べようという話になり、それぞれが食べたいものを屋台で買ってきた。

「あれ?真央まだ買ってないのか?」

「今から行くの!」

小走りに屋台に向かう真央の後から、ノブちゃんがやって来て

「悪い、繚、これ持ってて!!」

と、オムソバが入ったトレイを預けられた。

「え!?どこ行くんだよ」

「買い忘れ!!」

そのまま屋台のある方向に走っていった。

「ふーん。そうですか」

俺は笑いを浮かべて、ノブちゃんの姿が見えなくなるまで見ていた。

うまくいけばいいけど。

肝心な所でヘタレだからなぁ…。

まぁ、それがノブちゃんのいいところなんだけどさ。

はぁ、と息をはいて、俺は待ち合わせ場所に向かった。

神社まであと少しの所で、鳥居のそばにアキが立っているのに気付いた。

何か、さ。

背が高いからか、縦ラインが際立って、大人っぽいんだよな。

粋な感じ、っての?

まるで、知らない人みたいだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ