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12cm~越えられない距離~

第20章 花火よりも、もっと

「すげ…。俺、スターマイン好き」

圧倒されたまま、うわ言のように呟くと、皆がそれぞれ感想を口にした。

「分かる分かる」

「威勢いい感じがいいよね」

「うん…私も好き」

アキの感想に、トクンと心臓が鳴る。

アキを見ると、アキも俺を見返した。

「一緒だな」

笑って言うと、アキは短く

「そうだね」

それだけ言うと、花火の方を向いた。

そうすると、髪飾りが俺の目に入る。

花火の光で、彫りの陰影が浮かび上がったりして、なかなかいい味を出してる。

うん…似合ってる、よな。

アキは花火を見て、真央と何やら話ながら笑ってる。

可愛い…んじゃないか?

「繚、唐揚げ食べていいか?」

ノブちゃんの声に、ハッと我に返る。

「お、おぅ!!食べろ食べろ!!」

「サンキュー。…どうかしたか?」

「ん?花火、綺麗だよな!?」

「思わず見惚れてた?」

見惚れる?

「……だな」

「今年は風があるから、格段に綺麗だな~」

ノブちゃんは花火の話をしてるけど。

俺が見惚れてたのは…

花火を見るふりをしながら、俺はずっとアキを見ていた。

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