テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第22章 自信、無くなるよ…

「で…どうする?二人で映画見るか?」

アキの気持ちが俺に向いてないのが分かって、何となく投げやりな気分になる。

「でもさ、もらった券の映画、あんまり趣味じゃないんだけど…」

「え?何の映画なの?」

アキがチケットを覗き込み、あぁ…と呟いた。

「どっちかっていうと、ハハオヤが好きそう」

60代くらいの映画女優が主演の、人情映画。

「じゃあ、おばちゃんにプレゼントしない?」

「え?見ないのか?」

「うん。私もどっちでもいいかなって」

「そっか…」

映画を見るって事で、気持ちがアガッてたのは俺だけだったか。

またもや落ち込みそうになっていると

「どうせ見るならこっちがいいな」

そう言って、あるポスターを指さした。

「ねぇ、繚。こっち、一緒に見ない!?」

「あ…あぁ、いいよ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ