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12cm~越えられない距離~

第23章 『好き』な気持ち

「切り返さなくていいから」

「え…?」

「聞き流してくれればいいからさ」

「繚…?」

その先を求めるように、アキが俺を見てる。

けど。

アキが俺を友達だと思ってるなら。

これ以上言えないだろ?

困らせるだけだ。

「日曜までに何とかしないとな。近藤がうるさいだろうし」

「え!?」

急に話を変えた俺に、アキが何度も瞬きをした。

「知らない?近藤満里奈。美術部の部長なんだけど、うるさいんだ」

「あぁ…近藤さん」

「あ、知ってるんだ」

同学年だし、女子同士だから知っててもおかしくないか。

「去年同じクラスだった」

「そっか」

なるほど。それなら知ってて当然だ。

アキは上を向いて、ちょっと考える素振りを見せると

「真面目な人だけどな」

「真面目すぎるんだよ!!融通きかないってきかないって」

「それは繚が無茶するからじゃないの?」

ニヤリと笑いながら鋭い指摘をされて、俺は黙ってアイスコーヒーを飲んだ。

くっそぉ…!

こういう処が、勝てない。

こういう処が、好きなんだから仕方ないじゃないか!!

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