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12cm~越えられない距離~

第24章 俺の希望

夏休み、最後の日曜日。

美術部の部活のある日だ。

夏休みに入る前から部活に参加してない身としては、少しだけ行きづらい。

…絵も仕上がってないしなぁ…。

それも行きづらい理由の1つでもある。

まぁ、悩んでも仕方ないか。

諦めに似たため息をついて、美術室に入った。

「おはよう。久しぶり!!」

扉を開くと同時に声をかけると

「おぉ、生きてたか!?」

「怪我、大丈夫かよ!?」

所々から声がかかる。

「あぁ、無事くっついた」

指を広げて見せながら、自分の荷物置き場に行くと、沢尻が話しかけてきた。

「繚平、もういいのか?」

「あぁ、もう何ともない」

沢尻にも手を広げて見せると

「大したことなくて良かったな」

そう言ってニッと笑った。

「あの時、ありがとな」

改めてお礼を言ったら、ん?と目で問われた。

「怪我した時、さ」

「あぁ、そんなの気にすんなって」

だけどさ。

あの雰囲気の中で、普通に接してくれたから。

本当、ありがたかったんだ。

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