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12cm~越えられない距離~

第24章 俺の希望

「沢尻はコンクール用の絵、描けたのか?」

「あぁ、あと仕上げくらいかな」

「そっか…」

やっぱ、何も描いてないのって俺ぐらいだろうな…。

「何?繚平、まさか」

沢尻が感づいて目を見開いた。

と、そこに。

「中谷くん!!」

声のした方向を向くと…近藤だ。

「何だよ!?」

言ってから、ちょっと冷たい言い方したような気がして口ごもってしまう。

近藤が胸の前で手を合わせると

「怪我させてごめんなさい」

「え!?」

近藤から謝ってくるなんて!!

そんな事予想してなかったから、かなり焦っていると

「でもあなたに何の落ち度もない訳じゃないから」

…やっぱり近藤だな。

「ちゃんと理解してよ」

「分かってる」

お前だけが悪者じゃないって事だよな。

俺にも原因がある、と。

「じゃあ、コンクールの絵、ちゃんと提出してよね」

それだけ言うと、くるりと向きを変え、自分のイーゼルが置いてあるところに戻っていった。

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