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12cm~越えられない距離~

第24章 俺の希望

考えながら画用紙を見続ける。

すると、白い画用紙の中に、濃緑の群衆が浮き上がってきた。

群衆の中心には、一人の女の子。

群衆は女の子を捕らえようと手を伸ばす。

捕まらないようにかわすけど、足や服を掴まれてしまう。

でも目線は空の高みを向いていて…

希望。輝く未来。この手で掴みとる!!

あ。

…出来るかも。

これなら…描ける!!

パレットに、緑と茶色と紫と黒の絵の具を落とす。

水で薄めに溶いた所で、画用紙に塗っていった。

下書きなんかいらない。

頭の中に描いた絵を、そのまま移し込むだけだ。

迷いなく塗っていると、すぐにベースが出来上がった。

さて。

ここから陰影を付けていく作業だ。

水入れの中身を交換して、パレットに絵の具を足す。

画用紙が少し乾いたのを見計らって、ハイライトと影を入れていった。

上から強い光が当たっているのが分かるように、女の子の髪の光の反射を強めに描く。

それなら比例して、群衆は重々しく、粘つくような配色で…

俺は作業に没頭し始めた。

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