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12cm~越えられない距離~

第24章 俺の希望

《沢尻side》

繚平…大丈夫かよ!?

俺と話したあと、イーゼルを立てた繚平を見て、眉をひそめた。

立てかけた画用紙を見て、やっぱり、とため息をついた。

何も描いてない。

あいつ、夏休みの間、何してたんだ?

今日中に仕上げる気かよ!?マジか!?

だけど、描き始める気配はなく…真っ白な画用紙を見続けているだけ。

本当に…大丈夫なのか?

手伝おうにも、こればっかりは無理だしな。

俺も俺の準備をして、まだ描き込み足りない部分を仕上げていく。

テーマが『希望』だから、見ていて温かい気持ちになるような絵にしたい。

色も、パステルカラーを基調とした、柔らかい色彩。

自分の絵に集中していると、繚平が立ち上がった。

お。動き出したか。

水入れを洗いに席を外したので、ちらっと繚平の絵を見て…

自分の目を疑った。

は?何だぁ!?あの色!

自分の絵とは真逆の、緑と茶色で塗られた画用紙。

これで…希望!?

…おいおい。本当に大丈夫かよ!?

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