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12cm~越えられない距離~

第24章 俺の希望

「あ…何かいいなぁ。すげぇ癒される」

絵を見た感想を言うと、沢尻は力が抜けたように頬を緩めた。

「そう言ってもらえると嬉しい」

「うん…俺には描けない絵だなぁ」

沢尻が怪訝な顔をして、すぐにニヤリと口元を歪めた。

「繚平は『癒し系』じゃないもんな」

「お前だって、性格的にはそうじゃないだろ!?」

そんな言い合いをしていると、近藤が近付いてきた。

「中谷くん。描けたならエントリー用紙に記入して…」

コンクールのエントリー用紙を配りながら、俺の絵を見た近藤が呟いた。

「何これ…」

じっと俺の絵を見ている近藤に

「何か文句でもあるのか?」

少し不満げに問いかけると、

「何も!早く用紙に書いて持ってきて!!」

それだけ言い捨てると、別の人の所に用紙を配りに行ってしまった。

「あいつ…何だよ!?」

首をひねった俺に、沢尻が

「うーん…ショックだったんじゃない?」

「何が?」

「感性の違い?」

言われても意味が分からず、眉をひそめると

「気にするなって」

と、肩を叩かれた。

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