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12cm~越えられない距離~

第25章 付き合って下さい!

ノブちゃん家から自分の家に着くと…。

「あ、繚平おかえり。アンタにお客さんよ」

「へ!?」

帰るやいなや母親に言われて、戸惑いながら母親の指差した先をたどる。

その先には、店の中で商品をじっと見つめる一人の女の子がいた。

ツインテールのさらさらな黒髪が肩にかかっている。

イヤリングを見る瞳はキラキラしていて、楽しそうに微笑んでる口元は好感が持てる。

だけど…知らない顔だ。

近付くと、向こうも気付いたようで、俺の方を向いた。

「あ、すみません。急に押しかけてしまって」

「え、別にいいけど…」

「部室にお邪魔したら、もうお帰りだとお聞きしたので」

「あ、ごめん。友達のとこ行ってた」

「友達…もしかして、榊原先輩ですか?」

先輩?

ってことは、この子は1年生か?

「うん、そう」

答えながら記憶を探る。

だけど、1つ下の女の子に覚えはなくて…

「えっと、それで…用って?」

女の子は姿勢を改めて、真正面から俺を見た。

「私、小室皆美って言います」

そして、勢いよく頭を下げた。

「お願いします!!付き合って下さい!!」

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