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12cm~越えられない距離~

第26章 そんなんじゃないから

目の前には、頭を下げたまま動かない女の子―皆美ちゃんがいて。

俺の口から出てきたのは、

「……は?」

なんとも間抜けな一言だけだった。

「繚平、アンタねぇ。勇気だして言ってくれた子に、どんな返事なのよ!?」

ハハオヤが小さな声で…でも俺には聞こえるくらいの大きさの声で叱咤する。

うるさいぞ!!

それくらい、自分でも分かってる!!

だけど、面識ない子からいきなりそんな事言われてみろ!?

絶対、まともな返事出来ないって!!

「えーっと、ごめん。君、誰!?」

「え…と。小室皆美です」

「うん。名前は分かったけど…どこかで会ったことある?」

後ろから、ハハオヤのため息が聞こえた。

何だよ!!その残念そうな声は!?

苦い顔をした俺に、皆美ちゃんはにこにこ笑顔を浮かべながら、はっきりと言った。

「いいえ。お会いするのは初めてです」

「え?」

「私、中谷先輩の作った雑貨のファンなんです」

少しだけはにかんで答えた。

予想外の言葉に、まじまじと皆美ちゃんを見つめた。

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