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12cm~越えられない距離~

第26章 そんなんじゃないから

その日の昼休み。

弁当を食べてから、教室でノブちゃんと話をしていると

「繚平、呼んでるぞ~」

廊下側でたむろしていた奴が声をかけてきた。

「は?誰!?」

自分の席からは姿が確認できず、廊下まで出ていくと…

「中谷先輩!こんにちわ!!」

「あ」

そこにいたのは皆美ちゃんだった。

「どうですか?考え、まとまりました?」

「まとまる、って言うかさぁ…」

まさか教室まで来るとは思わなかったから、戸惑ってしまった。

「ごめんなさい。でも、早く返事が聞きたくて」

「あぁ…うん」

何でそんなに切羽詰まってるんだろう?

「お付き合いして下さるなら、私、早くやりたいんです」

皆美ちゃんが胸の前で両手を組み、俺をじっと見つめてまくし立てた。

「場所も、うちの部室が嫌なら、私の家でもいいですし、先輩の部屋の方がやり易いならお伺いしますから!!」

その勢いに一歩後ずさってしまう。


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