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12cm~越えられない距離~

第28章 やめちゃえばいいのに

沢尻がそう言うと、他の部員からも

「俺のとこは喫茶店って言ってたけど、まだ役割決まってないしな…」

「クラスでめんどい役に当たったら、部の事まで手が回らないかも…」

なんて、消極的ともとれる意見が続出してきた。

「…って事だけど。近藤、どうする?」

沢尻が近藤を見据えて問うと、近藤は下唇をきゅっと噛んだ。

「…分かったわ。皆の意見がそうなら、文化祭は例年通りにします」

うわ。引き下がった。

でも、めちゃくちゃ悔しそう。

こんな近藤を見たの、初めてだ。

大島先生がちらっと近藤を見て、一回咳払いをすると

「えーっと、じゃあ、文化祭はそういう事で」

そう言って、皆の顔を一瞥した。

「では。この前、市の絵画コンクールでは、皆一生懸命に絵に取り組めて、とてもいい作品を出品できたと思います」

え。今さら?

急な話の振り方に、怪訝な顔で大島先生を見てしまった。

「それで、市の方から、コンクールの受賞者と展示会の連絡がありました」

皆からどよめきが起こる。

「えー、まず、受賞者だけど…」

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