テキストサイズ

12cm~越えられない距離~

第29章 これって…デートなの?~晶side~

「アキ、ちょっといい?」

生物室での授業が終わり、教室を移動しようとしたら、呼び止められた。

ドクン、と心臓が跳ねる。

だけど、何事もないような振りをして顔を向けた。

「何?」

視線の先には、繚の姿がある。

久し振りに話せて、ものすごく嬉しいのに、それを表に出すのが気恥ずかしい。

結果、素っ気ない口振りになってしまった。

こんな風に言うつもりなかったのに!

「あのさ、今度の日曜、空いてる?」

「日曜?」

「日曜が駄目なら土曜でもいいんだけど」

え…?

今週の土日って、何かあったっけ!?

頭の中で予定を思い出しながら、突然そんな事を聞かれて戸惑っていた。

「日曜なら、空いてる」

それだけ言うと、繚はほっとしたように笑って

「じゃあ、付き合って欲しいんだ」

え!?付き合う!?

…あ、一緒に行って欲しいって意味だよね。

分かってるのに、繚の声が耳に残って…ドキドキする。

「10時くらいって平気?」

「う、うん」

「アキの家まで行くから。頼むな」

「うん」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ