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12cm~越えられない距離~

第29章 これって…デートなの?~晶side~

繚が抗議の声をあげた。

でも、小柳さんはにこにこ笑って

「えーと、中谷くん。絵のこっち側に立ってもらえるかな?」

自分のペースに繚を捲き込んでいった。

「すご…」

さすがプロの記者。

有無を言わさず、写真を撮りながらちゃんとインタビューもしてる。

二人のやりとりを感心しながら見ていると、前田先生が話しかけてきた。

「君は…美術部の子じゃないよね?」

「はい。バスケ部です」

「バスケ部…あぁ、なるほど。それで…か」

うんうんと頷く先生に、小首を傾げると

「繚は大人ぶる処があるねぇ」

「え?」

「インタビュー。あいつがあぁやって、顎を上に向けて話してるときは、本心を語ってない時だよ」

「へぇ…」

「新聞に何て書かれるか、楽しみだな」

くくっと笑う先生は、繚を優しい目で見ていて…

いい顧問の先生だったんだろうな。

それだけはよく分かった。

「ま、そういう偏屈な奴だから、気長に見てやってよ」

「え…あ、はい」

前田先生が何を意図して言ったのかなんて考えないまま、返事をした。

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